- page_sub_title: 《油滴天目》 漆黒の釉中に、まるで油の滴が浮いているかのように銀白色や金茶色の結晶が現れたものを「油滴天目」といいます。 古来茶人のあいだで「燿変(ようへん)」につぐ銘品として珍重されてきました。 油滴天目は窯の中で割れ易いことから土物に釉をほどこした作品が多いのですが、真右ヱ門窯はあえて磁器で制作している技が見ものです。 油滴天目の気品の高い美しさは専門家でなくても、知られるところで、 時代劇などに「天目台」という台の上に天目茶?を乗せて差し出されている場面をよくみかけることからも、おもてなし使いの器であると認識されていたようです。 油滴天目茶?は、南宋の陶工が皇帝や士大夫階級といわれる知識人の求めによって作り残したものと伝えられます。 神秘的な美しさと魅力をはなつ油滴天目は、単に目を楽しませるだけではなく、 心を研ぎ澄ました時、宇宙深奥の景色を読みとることができる色、として重宝されてきました。 「すべてをつつみこみ昇華する黒」、それこそが、宋の時代にこめられた深い精神性だったのです。
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